お誕生日おめでとうございます。
すっかり放置状態のこの場所ですが、最後のお誕生日となるこの日には、一言残しておきましょう。

この数年、ずっと、これが最後のお誕生日のお祝いかも…と思いながらお祝いしていました。
そして毎年「今年もお誕生日のお祝いができた事」が、何よりも嬉しい事でした。
そして、今、この時。
公演中にお誕生日を迎えられた事、本当に嬉しいです。
今日はお芝居でもショーでも、お誕生日のアドリブをして下さって。
嬉しそうなお顔を見る事ができて、本当に幸せでした。

数々のご卒業へのイベントが行われ、次々と過ぎていく日々の中。
多くの方が語るオオゾラユウヒさんへの愛に満ちたお言葉に、ファンとしても改めて幸せを感じます。
そして、やはり、別れの寂しさも…。

でも、今はただ。
「大空祐飛」という存在を作りあげ、私達に沢山の幸せをもたらして下さった事への感謝と、ありったけの愛を。
大空祐飛写真集「I’m here」ちゃんと、発売日に買いに行きましたよ。
まずは、我慢できなくて、店頭でパラパラと全部見てからレジに並びまして。
家に帰ってから、ゆっくり眺めてみました。

まず、立ち読みした時には、極彩色の蜷川ワールドが印象的で。
「モノクロページは大空祐飛ターン。カラーページは蜷川実花ターン」だなーと思ったのです。しかし、今、じっくり眺めているうちに印象は違ってきました。

カラーページの、いかにも蜷川さんんらしい極彩色のなか、男役「大空祐飛」はドラマを語っている。具体的に役柄を作り込んでいるワケではなくとも、その存在そのものが「劇的」で。
最後の銀ちゃんのページなんかは、完全に「男性」として芝居をしていますしね。あの歩き方!肩のすぼめ具合や、膝の曲げ方など、本当に生身の男性のリアリティがあります。このままヤクザ映画で男優の方に混じっていても、違和感なさそうです^^;
スーツ姿のターンも、いかにも男役らしい写真かと思いきや、写真によって違う人物を演じているよね?というのも面白かったなー。
どの写真も、蜷川実花ワールドの中にきっちり作りこんだ「大空祐飛」の世界が、息づいている。

そして、モノクロページは。大変におこがましい言い方なんですが。
蜷川実花さんって、本当にすごい写真家さんなんだなーと、改めて思わされました。私は美術とか全然分からない人間ですが、それでも、モノクロ画面の美しさとか、全体のバランスとか、プロのアーティストとしてのクオリティの高さを感じました。背景の無い白い部分がすっと消えていくような感じの広がりとかすごく良いですよね。
そして、被写体を真っ直ぐに捕まえる”目”のチカラのようなもの。
何枚かある、こちらをジッと見つめているような写真。写真家というのは人物の本質を捉えるものなんだなーと。こういう目ヂカラの「大空祐飛」の写真は初めてみました。静かで優しくて、ストレートな力。

私は昔から男役・大空祐飛の事を「限りなく二次元に近い三次元の存在」だと思っていまして。そもそも宝塚の男役というのは、そういうものだと思いますが、中でもこの人はフィクション度の高い、二次元に近い人だと。
その二次元に近い部分を、ナマの舞台では三次元の生身の存在として感じるのが、宝塚の面白いところではあるのですが。
でも、その存在が写真として二次元の世界に落とし込まれると、なんだか安心できる気がします(^^ゞ
だから私はオオゾラさんの写真が好きなんだろうなーと、たまに思います。
そして、まさにこの写真集は二次元ワールド。架空の存在である「男役」のフィクション性を大空祐飛なりに追及したもののような気がして、大変気に入りました。
また更に眺めていると、違った感想が生まれるかも。

そして、最後のページは、笑顔で歩み去っていく写真というのが嬉しかったな。
お約束な構成だけど、「また、舞台で会おうね」と思いました(^^)
なんとなく、「歌劇」と「グラフ」を見ていました。
どちらにも、オオゾラ氏のポートあり。
「歌劇」を入手した時、このポートを見て「良かった、ふつーに可愛い♪」と思いました。
やはり、グラフのあれは刺激が強すぎましたから^^;
見た瞬間に「どう?みんなこういうのが好きなんでしょ?」という声が、聞こえてきましたよね。…もう、何度目だか。

それを思うと、「歌劇」のちんまりと座る姿は、宝塚のトップとは思えない程にお可愛らしいです。
ってか、また若くなってるよ、この人…。
そう思っていると。
「…何か、期待してた?残念でした~」と、ニヤニヤほくそ笑む声が聞こえてきたような気がしました。
違います!これくらいのほうが、平常心で可愛さをゆっくり見る事ができて、楽しいです!
絶対、押したり引いたりのバランス考えてますよね(ーー;)
…やっかいな人のファンになったものだなぁ。最近、留まる事を知らないパワーで、客をいじってくれるものだわ。

しかも「絵と文」の「ゆーひさんが描いたまさこさん」も、可愛いなぁ。すっかりキャラが変わって、いったい何処まで行くんだろう?



ぼけーーっとしているうちに、世界はがんがんまわる。
前回更新してから世の中は変わり、宝塚の話題も…あいかわらず、付いて行けてないです。

博多座の感想とかも纏まらないままで。
ついでにちょっと九州旅行もしてきたので、その思い出や、色々食べた美味しいものの事なんかも書き残したいなーとか。
実は「GOGO5」の収録にもぐりこめたりしたのですが、放送ではカットされた部分、もうあんまり思い出せないなーとか。
「カサブランカ」関連とかも…日々、色々思う事はあるのですが。
星組さんの「大王四神記」も見てきて、おそらくこれで見納めになりそうなので、その感想も。
そして……月組退団者の事、とか。いや、そもそも月組「エリザベート」も新公も何も書いてないし。
うん、想いを書き綴るのって難しいです、私にとっては。

書かなければいけないなぁと思うと、ついつい横道に逸れてしまう私(^^ゞ
今回のスカイ・ステージ・トークで、蘭寿さんが花組時代に「死ぬ役」が多かったという事で、その匠の技を伝授されておりまして。
ふと、ギモンに思ったのです。死ぬ役って、そんなに珍しいのか?と。若い二人は、あまり経験が無いと知ってびっくり。
でもオオゾラさん、しょっちゅうやってるよね?
私がファンになってからでも、かなりの回数を見ている筈。確かに生き死にに関わる役は多いと、ずっと思っていました。オオゾラさんのファンになってから、死について考える事が増えたなーと思った記憶はある。
でも、宝塚ってそういう演目多いし、「皆殺し」の異名を持つ演出家もいるのだから、誰でもそんなもんだよね?とも思っていました。
そう言われてみると、そういう演目でも全員が死んじゃうわけではないし。
…なので、数えてみました。
私がファンになってからの記憶と合わせて、公式の公演リストから。

1998年 「黒い瞳」 トマーノフ(大劇場)※戦死 新公・プガチョフ※刑場へ
1999年 「黒い瞳」 ザルービン(1000days)※撃たれる 新公・プガチョフ
2000年 「BLUE・MOON・BLUE」 戦士(博多座) ※撃たれる
      「ゼンダ城の虜」 ド・ゴーテ(大劇場のみ) ※戦死
2001年 「大海賊」 フレデリック(東宝のみ) ※戦死 
      「血と砂」 プルミタス ※撃たれる
2002年 「サラン・愛」 李 世煥(イ・セファン)(全国ツアー) ※戦死
2003年  無し
2004年 「ジャワの踊り子」 ハジ・タムロン(全国ツアー) ※自殺
      「THE LAST PARTY~S.Fitzgerald’s last day~」(バウ) 
2005年 「エリザベート」 ルドルフ ※自殺
2006年 「ベルサイユのばら」 オスカル(大劇場) ※戦死?
      「THE LAST PARTY~S.Fitzgerald’s last day~」(東京芸術劇場) 
      「暁(あかつき)のローマ」カシウス ※戦死?
2007年 「MAHOROBA」 サダル ※戦死
2008年  無し
2009年 「太王四神記」 ヨン・ホゲ ※戦死
      「大江山花伝」 茨木童子 ※戦死?

えーと、15作16人?…これは、多いですよね、多分。
公式のデータが整備される以前の、皆殺し伝説「EL DORAD」とかでも、ジプシーは順番に死に際に台詞があって…私が見た時は随分引っ張ってた記憶が^^;新公も、大劇場と東京で違う役ですが、どっちの役も殺される側。
ディナーショー等のドラマ仕立ての場面でも戦って死へ…という場面があったような。でも「迷彩役者」と言われる程には迷彩服は無いかも。
しかし、こうやって拾ってみると、本当によく戦死なさる方ですね。
「ゼンダ」や「大海賊」では悪者グループだったからで、良い人チームは生き残った方が多いんですよね。たとえば霧矢さんは、本公演で同じ演目に出ていても勝利チームばかりで、ちゃんと生き残ってる…サルメだけ、かな?
つまり、”斬られ役”だったんですね、オオゾラさん…悪役のほうが似合うし^^;
また、戦いつつ、斬られたり撃たれたりして…というパターンが多く、死に際に台詞を言ったり、歌ったりというのも少ないのも確かでした。
ホゲの時に苦労したというのもわかりますね。誰かの腕の中で…という事も初めてだったんだね。カシウスやサダルは嘆いてくれる人はいたけど、他は舞台上では見向きもされてないかも(・_・;)
「黒い瞳」や「暁のローマ」など、反乱軍というのも、オオゾラさんに多いようなイメージ。
勝てないとわかっている戦いに出て行く…という宝塚の「滅びの美」が似合う男役さんなんですよね。だから、ヨン・ホゲ役とか茨木童子とか、オオゾラさんにピッタリな感じなんでしょうね。
博多座の戦士や「サラン・愛」のイ・セファンの最後のタニちゃんと二人でのストップモーションから暗転!は、本当に美しい「滅びの美」の形でした。

そして、自殺パターン。これは戦いよりも重い、気がします。
「エリザ」のルドルフ、「ジャワの踊り子」のハジ・タムロン。重かったですね…。
タムロンは、見るほうも苦しかったですが、あれを演じるのはキツかっただろうなーと今でも思います。自ら、未来も命も否定して選んだ死だから。
ルドルフは、私にとっては一種の「反逆」として選んだ結末…という印象が強いです。なので、死を覚悟して反逆の戦いに身を投じた人達と同じ、自分と未来を信じた為に選んだ道というイメージかも。

直接”死”の場面はないですが、スコット。
病によって奪われた命ですが、それ故に一番死と向き合った役。
「この世の終わりのように美しいという言葉があるが、この世の終わりってそんなに美しいものなのか?」という台詞にはとても重いものがありました。その後「あと、1分。」の言葉の後、原稿用紙にむかったり、ゼルダとの写真を見つめたりして…一人、舞台に後姿を見せて去っていく。美しい最期の場面でした。
あれから「命の終わりって、美しいものなのか?」という問いは、ずっと私の中に残っているような気がします。最期の時、自分はどうなるのか…考えさせられた作品でした。

それに、自分は死ななくても、人を殺す役も沢山ありましたね。
私にとって印象深いのは、「WEST SIDE STORY」のチノです。新公のトニーも本当は撃たれる役ですが、オオゾラさんは1幕のみだったので、ベルナルドを刺してしまった時点で、幕。オオゾラさんにとっては、「WSS」は人を殺す作品だったんですね。
チノ役では、大劇場ではトニーを撃った後、幕が降りてから涙が止まらなくて、フィナーレに出る為にいつも引きずって連れていかれていた…というのは忘れられないエピソードです。

更に、愛する人、身近な人を喪う役も多数。ローズを喪った、ステファーノさんとか。
こうやってみると、オオゾラさんは、ずっと「命」というものと向き合う、宝塚人生、役者人生という感じなのかも。巡り合わせですが。

ファンでもこんなに考えてしまうものだから、演じるご本人はもっと「命」について考える事が多いだろうなーと、今回の「Apasionado!! II」で思っていました。
ストーリー仕立ての三つの場面、なにげに死亡率の高いショーでしたから^^;
その三場面のうち、オオゾラさんの受け持ちは二つ。ヴァレンチノと新場面の戦場。オオゾラさん、芝居も合わせて1公演に三回死ぬのは、さすがに初めてだよね…と、思って。

ヴァレンチノは、やはり直接の死の場面は無く、周りの人々によって語られるのみ。
オオゾラさんは、彼の孤独な人生を歌い踊るだけですが、孤独のうちに人生を終わった痛みを、じっくり見せてくれました。
その、身を切られるような、孤独。映画スター・ヴァレンチノを描きながら、真実の愛を求めた一人の男の、普遍的な…誰でも抱く孤独を表現してみせた。

そして、その後に登場した”彼”蜜蜂アベハは「どこに咲くのか、魅惑の花」と、また孤独を歌い…やがて”白い蘭”のすみ花ちゃんと出会い、恋に落ちる。
実は、この流れが非常に大好きでした。
やっと出逢った二人が恋に落ちて、キスをした時、”彼”の孤独は、癒された!…というカタルシスを感じたのです。
なんだ、新トップコンビのお披露目に、すごーーくぴったりじゃない!!と、驚いたのでした。まるで、意図して作られたみたいで、不思議に感じたのです。

そして、狂乱の恋の後の、戦場の場面。
”彼”の胸には、愛しい命がある。辛い戦場にいながら、”彼”はもう、孤独ではないんですね。
死を覚悟した時、彼女の幻を見て、その心は癒される。命を失うその瞬間、銃を愛する人に見立てて見つめる、そのなんとも言えない表情は胸が痛くなるものでした。戦争はいけない…と、思いましたね(^^ゞ
崩れ落ちた時、静かで穏やかな…幸せそうな微笑を浮かべていたのが、印象的。沢山の死に顔を見てきましたが、こんなに安らかなお顔は初めてかも…と。

やがてラグリマ達の素晴らしく美しい歌声のなか、二人は神々しい存在となって蘇る。
ラグリマの皆さんの暖かさと優しさに包まれて、生まれ変わったお二人は、本当に美しくて幸せで(頭にのっかっている謎の白いモノも、ギモンを抱きつつもどうでもよくなるくらいでした^^;)
まるで、「宙組」の、大空祐飛・野々 すみ花として生まれ変わったお二人を祝福するかのような、優しく力強いコーラス。
今の宝塚で群舞とコーラスの揃いっぷりは、宙組が5組で一番だとは思っていましたが…半分の人数でのこのパワーの歌声には毎回感動でした。
再生の歓喜に溢れた場面の歌声が、胸に沁みて…実は、何度も涙が出てしまいました。初日は泣かなかったのに(^^ゞ
今回のスカイ・ステージ・トークで、蘭寿さんが宙組の皆さんの事を「奇跡的にピュア」と表現されてましたが、その言葉にすごく納得。
最後に宙組に巡りあえて、幸せだなーーと毎回思っておりましたら、千秋楽でオオゾラさんご本人の口からまったく同じ言葉が出て嬉しかったです。

さて、結局長くなってしまいましたが。
話を元に戻しますと。
まさこちゃんも、ちーちゃんも、君たちはまだ若い!
あと7~8年もすれば、死ぬ役も10人くらいはできるよ、きっと(^^)