雪組「エリザベート」について、続きます。
雪組さんをあまり見ていない月組ファンの呟きです。お気に召さない事など、無いとよいのですが…。

ウィーン版来日公演があり、宝塚が同時期にエリザベートを上演すると聞いた時、「ザ・タカラヅカ!」という感じになるだろうなーと思っておりました。「歌手」でない水・となみコンビで、わざわざこの時期に上演するのも、まあ半端な歌で向こうの歌に張り合っても限界があるでしょうし、「タカラヅカ」らしさをアピールして並べるのが妥当な策だろうと思いました。

でも。
今まで色々な組で「タカラヅカ」なエリザを見てきたわけですし、改めて「ザ・タカラヅカ!」ってどうなの?と思っておりまして。
月組版が大好きだったので、申し訳ないけど、正直言えばあまり期待せずに行きました。ネットの感想もほとんど読まない状態で見てきたのですが…。
結果は、「面白かった!」でしたね。まだまだ月組版を体で覚えている状態で、でも、だいぶ記憶が薄れてきた頃合。意外にちょうど良いタイミングのように思いました。”違い”を楽しむのも再演の楽しみの一つ。本当に全く違っていて面白かったですね。

月組「エリザベート」、本当に大好きだったんですよ。贔屓の組で、贔屓の生徒さんが熱演し、成長していて…幸せな時間でした。
月組の「エリザベート」は個性的な月組生が、それぞれ目いっぱいに客席に向かって自分の役の人生を主張して、金平糖のように飛び出してきた印象の作品でした。どの人物の主張も納得できるし、でもお互い絶対に分かり合えない痛み。人生を信念をかけた主張をぶつけ合いながらも、相手は家族。愛情故に、妥協してはくれないかと期待されているのを知りながら、拒絶しあう人々。
「エリザベート」って、こんなにも「痛い」話だったんだと思いました。

そして雪組再演版「エリザベート」は。
「ザ・タカラヅカ!」なエリザベート。
無邪気に自由を歌う無垢なエリザベートと、彼女を優しく熱く見守るトートの恋物語。
彼女の周りの人々は、皆ひたすらに真面目で優しいオーラを纏っています。エリザベートに敵対するような人々も、冷たさを感じさせず、真面目にその人なりの主張で生きている。
皆さん、キラキラの美形で、ちょっと童顔系。そして、雪組さんって、全体に若いんですね。
なんだかねー、まるで全体にふんわり 優しくてキラキラしたベールがかかっていたような気がしたんですよ。
影も毒も感じさせず、濁りの無い澄んだ色あいの「エリザベート」。
「ザ・タカラヅカ!」なエリザベートは「オシャレで可愛いフェアリー」達が作る、ロマンティックな恋物語なんだなーと。
「エリザベート」ってこんなにもファンタジックな話だったんだ…というのが、雪組再演版初見の感想でした。
あと二回見る予定ですが、この後、感じ方が変わっていくかどうか楽しみです♪
やっと、雪組エリザベート観劇してきました。
面白かった〜!とっても新鮮でした。

ともかく、となみエリザベートが可愛い!!
もう、可愛くて可愛くて可愛くて、何をどうしても「しょうがない」という感じですよ。どんな事を言われても「可愛いから…ま、いいか。」と納得しちゃいます。
いきいきとした生命力、無邪気で無垢な、まっさらなままの魂の美しさ。

そして、無邪気過ぎる故にまわりに向ける刃。
彼女は人間の「欲」を理解しない。
故に権力も権威も、それを象徴する為にある「宮廷のしきたり」も、全く意味が分からない。
まるで「妖精の取替えっ子」のように人間社会というものが理解できずに、夫にも子供にも馴染めずに一人で彷徨い続ける。
実在のエリザベートとはまるで違う話だとは思いますが、これはこれで良いと思いました。
だってここは「タカラヅカ」、史実なんてどうだっていいのです…となみエリザベートの可愛いさの前にはどうって事ありません(^^)

そして、トートの水さん。
激しくて、めちゃくちゃエリザベートを愛していて、暖かくて優しいトート閣下。
すごく印象的だったのが、最初の出会いの場面の後、助けたエリザベートを現実に返した時の微笑みと、ラストの昇天の場面でした。
見えない筈のエリザベートが自分に呼びかけた時、歩み去るトート閣下が優しく笑ったのが、まず最初の衝撃。
そしてラストの昇天の場面で、やっと寄り添う事ができたエリザベートを見つめる、暖かくて優しい瞳。
エリザベートの魂を包み込むように微笑むトート閣下。その隣で、やっと「人生」を受け入れて、穏やかに世界を見回すエリザベート。
このラストは私にとっては衝撃でした。初めてこの場面の意味が分かった気がしました。

冷たい爬虫類系のビジュアルとは裏腹に、水トート閣下は情のある優しい「死」なんですね。
さえちゃんトート閣下は「冷たく甘美な誘惑」としての「死」という印象でしたが、水トート閣下は「いつか辿り着く所」であり、穏やかな充足の場所しての「死」というイメージでした。
「死は逃げ場ではない」という拒絶も、昇天する時のエリザベートの全てを受け入れた顔を見て、すごく納得しました。
今までのエリザベートは、最後に「少女」に戻ってしまう印象だったのでそこで幸せになるのは「逃げ場」とは違うのか?と、ずっと疑問だったんですよ。今回、初めて納得できた。「人が死を愛する」ってこういう事なのかー。

フランツのゆみこちゃんも素敵でした。
まず、何よりも歌が良い!まろやかな優しい「宝塚の男役」の低音が、凄く素敵でした。
ともかく、本当に優しい皇帝でしたねー。あんなにも、どこまでも優しいフランツ、というのも新鮮でした。
フランツって、どうしてもエリザベートに対する「無神経さ」が嫌な役だと思っていましたが、ゆみこちゃんにはそういったイヤミが無いんですね。どこまでも優しくて、ものすごく真面目な皇帝陛下。皇帝の義務を果たす為、あまりの真面目さ故に母に従うばかりの彼を、人間社会の意味がわからないエリザベートは、理解できないんですね。これは、もうしょうがない^^;
優しくて、ひたすら真面目で…寂しい皇帝陛下でした。

時間切れ。また続きます。

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