「ソルフェリーノの夜明け」の思い出
2010年4月28日 宝塚色々と思う事の多かった雪組公演。
とりあえず、作品について一つだけ、忘れないうちに書き記しておきます。
雪組公演「ソルフェリーノの夜明け」で得た、人生の教訓。ものすごく、くだらない教訓なのですが(^^ゞ
「涙はすぐにとまるが、それに伴う鼻水は、止まらない」…すみません、本当にくだらなくて。
でも私には衝撃だったのです。あの作品で泣いてしまった事が。
多くの方が、涙が出て悔しがっている事は知っていました。でも、私に限ってそんな事は無い!!という自信があったのです。
だって、今までそういう評判を聞いていても、ドライアイの私が涙を流す事は、ありませんでした。そして「これは私は泣くだろうな」と予測できるものは、たいていそうなりました。予測外で涙が出てしまった事は、ほとんど無いのです。
ましてや、植田御大の作品など。谷先生と並んで、私の中では「お涙頂戴」場面と認定して、失笑とか苦笑とかしちゃうのが、今までの私だった筈。
それなのに、泣いてしまったのです。皆様と同じく「アヴェ・マリア」で(ーー;)
自分でどうにも納得できなくて「何故??」と、考えずにはいられませんでした。
…でも。考えてみたら私、植田御大作品で泣いた事、何度かありました。谷作品では、今までの十数年間、一度も泣いた事はないけれど。
谷作品は基本的に「芝居仕立のショー」なので、お芝居部分というのは、歌の場面を盛り上げる為の「前振り」に過ぎない事がほとんどです。だから普通の意味での「芝居」とは違うものと思っています。説明と場つなぎ以上の意味は無いものだと。
その谷先生の師匠であり、作品の雰囲気など似たイメージのある植田御大ですが、作品の組み立ては結構違う所もあるのですよね。
そして私は、植田芝居では何度か泣いたり、本気で感動した場面がある。
まず一番最近は「ジャワの踊り子」のオオゾラさんのハジ・タムロンが、命を狙っていたアディナンに助けられて、号泣する場面。
※某方から指摘を頂きました。「ジャワの踊り子」は、菊田一夫作品でした。あの時の全ツは、植田・谷演出でしたが、もとは菊田作品。なるほど、改めて、偉大な方なんだなぁ。謹んで訂正致します。
それからビデオで見ただけですが「風と共に去りぬ」と久世アシュレの嘆きの場面とか、「ベルサイユのばら」の久世アランの嘆きの場面とか。
…全て贔屓の芝居の場面ですが、まあ、これは一般的にも名場面として、多くの人の心に残る場面になっていると思います。
植田御大の作品は、たまーにこういう見せ場を作って、役者に渾身の芝居をさせてくれる機会を与える事も、あるのですよね。
タムロンは、私がオオゾラさんの芝居で初めて涙した芝居でした。あんなに芝居をさせて貰える役は、初めてだったのですよね。…懐かしい。(ダブルとはいえ主演だった「血と砂」ですが、私はサイトー君の芝居では笑顔にしかなりません、色んな意味で^^;)
そして、この「私的、植田芝居の泣きポイント」には、共通するものがあると思うのです。
それは「今までの自分の人生と信念を、自ら否定する瞬間」という場面なのではないかと。
まわりの人から非難されても、どうしても曲げられなかった、信念。そして、その信念の為に苦しい思いをしてきた人生を、自ら否定する、とても痛い瞬間。
見ているほうも、胸をギュッと掴まれるように痛い場面でした。
そして、今回のアヴェ・マリアの場面も、同じ。
私はやはり贔屓である、ひろみちゃんの演じる兵士モラルドと、みなこちゃんのアンリエットを中心に見ていたので、この場面が胸に響いたのだな、と思います。
敵を憎む事で自分を支え、敵兵に情けをかけない事を信念として生きてきた二人が、その今までの頑な信念を捨てる場面。
その心の変容の芝居を、台詞ではなく、皆で歌う場面にのせることで見せた、演出の勝利ではありますね。
アンリエットや兵士達皆に、その心の変化の芝居をさせつつ、いっぺんに見せられたわけですから破壊力が大きかった。
この場合、皆が心を動かされるきっかけの流れが??なのは、まあ、言うのは野暮って事で。それは、どうでもいい事なのです。
大事なのは、あの場面の皆さんが、心を動かす芝居を見せて下さった事。だから、私が泣いたのは正しいのです。
…という結論が出て、やっとすっきりしたのでした。
そして、そんな涙は次からの場面ではまたヘンテコな台詞の応酬が色々あって、すぐに引っ込んでしまったのですが。…止まらないものがありまして、本当に苦労しました。すみ花ちゃんのご苦労が、よーく分か…いやいや^^;
それにしても。このヘンテコな台詞満載のトンデモ作品を、あれだけの感動場面を作り観客を泣かせた、水さんと雪組に皆さんは本当に偉大だったと思います。
さぞや、ご苦労された事でしょう。このメンバーだからこそ、作り上げられたこの作品。見る事ができて、よかったなーと思います。
次の作品は、できるだけそんな変なご苦労が無いものであるよう、祈っております。
そして、今のひろみちゃんが演じる「あかねさす紫の花」の、天比古が見たくなってしまったのでした。
とりあえず、作品について一つだけ、忘れないうちに書き記しておきます。
雪組公演「ソルフェリーノの夜明け」で得た、人生の教訓。ものすごく、くだらない教訓なのですが(^^ゞ
「涙はすぐにとまるが、それに伴う鼻水は、止まらない」…すみません、本当にくだらなくて。
でも私には衝撃だったのです。あの作品で泣いてしまった事が。
多くの方が、涙が出て悔しがっている事は知っていました。でも、私に限ってそんな事は無い!!という自信があったのです。
だって、今までそういう評判を聞いていても、ドライアイの私が涙を流す事は、ありませんでした。そして「これは私は泣くだろうな」と予測できるものは、たいていそうなりました。予測外で涙が出てしまった事は、ほとんど無いのです。
ましてや、植田御大の作品など。谷先生と並んで、私の中では「お涙頂戴」場面と認定して、失笑とか苦笑とかしちゃうのが、今までの私だった筈。
それなのに、泣いてしまったのです。皆様と同じく「アヴェ・マリア」で(ーー;)
自分でどうにも納得できなくて「何故??」と、考えずにはいられませんでした。
…でも。考えてみたら私、植田御大作品で泣いた事、何度かありました。谷作品では、今までの十数年間、一度も泣いた事はないけれど。
谷作品は基本的に「芝居仕立のショー」なので、お芝居部分というのは、歌の場面を盛り上げる為の「前振り」に過ぎない事がほとんどです。だから普通の意味での「芝居」とは違うものと思っています。説明と場つなぎ以上の意味は無いものだと。
その谷先生の師匠であり、作品の雰囲気など似たイメージのある植田御大ですが、作品の組み立ては結構違う所もあるのですよね。
そして私は、植田芝居では何度か泣いたり、本気で感動した場面がある。
まず一番最近は「ジャワの踊り子」のオオゾラさんのハジ・タムロンが、命を狙っていたアディナンに助けられて、号泣する場面。
※某方から指摘を頂きました。「ジャワの踊り子」は、菊田一夫作品でした。あの時の全ツは、植田・谷演出でしたが、もとは菊田作品。なるほど、改めて、偉大な方なんだなぁ。謹んで訂正致します。
それからビデオで見ただけですが「風と共に去りぬ」と久世アシュレの嘆きの場面とか、「ベルサイユのばら」の久世アランの嘆きの場面とか。
…全て贔屓の芝居の場面ですが、まあ、これは一般的にも名場面として、多くの人の心に残る場面になっていると思います。
植田御大の作品は、たまーにこういう見せ場を作って、役者に渾身の芝居をさせてくれる機会を与える事も、あるのですよね。
タムロンは、私がオオゾラさんの芝居で初めて涙した芝居でした。あんなに芝居をさせて貰える役は、初めてだったのですよね。…懐かしい。(ダブルとはいえ主演だった「血と砂」ですが、私はサイトー君の芝居では笑顔にしかなりません、色んな意味で^^;)
そして、この「私的、植田芝居の泣きポイント」には、共通するものがあると思うのです。
それは「今までの自分の人生と信念を、自ら否定する瞬間」という場面なのではないかと。
まわりの人から非難されても、どうしても曲げられなかった、信念。そして、その信念の為に苦しい思いをしてきた人生を、自ら否定する、とても痛い瞬間。
見ているほうも、胸をギュッと掴まれるように痛い場面でした。
そして、今回のアヴェ・マリアの場面も、同じ。
私はやはり贔屓である、ひろみちゃんの演じる兵士モラルドと、みなこちゃんのアンリエットを中心に見ていたので、この場面が胸に響いたのだな、と思います。
敵を憎む事で自分を支え、敵兵に情けをかけない事を信念として生きてきた二人が、その今までの頑な信念を捨てる場面。
その心の変容の芝居を、台詞ではなく、皆で歌う場面にのせることで見せた、演出の勝利ではありますね。
アンリエットや兵士達皆に、その心の変化の芝居をさせつつ、いっぺんに見せられたわけですから破壊力が大きかった。
この場合、皆が心を動かされるきっかけの流れが??なのは、まあ、言うのは野暮って事で。それは、どうでもいい事なのです。
大事なのは、あの場面の皆さんが、心を動かす芝居を見せて下さった事。だから、私が泣いたのは正しいのです。
…という結論が出て、やっとすっきりしたのでした。
そして、そんな涙は次からの場面ではまたヘンテコな台詞の応酬が色々あって、すぐに引っ込んでしまったのですが。…止まらないものがありまして、本当に苦労しました。すみ花ちゃんのご苦労が、よーく分か…いやいや^^;
それにしても。このヘンテコな台詞満載のトンデモ作品を、あれだけの感動場面を作り観客を泣かせた、水さんと雪組に皆さんは本当に偉大だったと思います。
さぞや、ご苦労された事でしょう。このメンバーだからこそ、作り上げられたこの作品。見る事ができて、よかったなーと思います。
次の作品は、できるだけそんな変なご苦労が無いものであるよう、祈っております。
そして、今のひろみちゃんが演じる「あかねさす紫の花」の、天比古が見たくなってしまったのでした。
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