※誤字を訂正するつもりが記事を削除してしまい、ついでに他にも加筆・修正しましたm(__)m
※今更ですが、ネタバレですので、青年館からご覧になる方はご注意下さい。

「シャングリラ」ドラマシティ公演千秋楽、まさかのサバキゲットで見てきました。
本当は行くつもりのなかったドラマシティ公演、最後の週末。突然の遠征で周囲の方々に多大なご迷惑を撒き散らしつつ、行き当たりばったりのばったりの旅でした。ご迷惑をかけた皆様、申し訳ありませんm(__)m
結局、土日の4公演を全部見てきました。そして、この4公演、みんな違うお芝居だったので、なんだかとってもお得な気がしました♪
勿論、脚本・演出は同じですけれども。お芝居は皆さん、違っていたのですよ。ソラを含め、皆さんのお芝居…というか、キャラクター設定が違う気がしました。
4回、全部。先週は3回観劇しまして、それぞれに変化していっている気はしました。でも、このラスト4回の変化は先週よりもずっと大きくて。すごい勢いで、このドラマを完成に向けて作り上げていく様子を見た気がしました。

特に、楽の日の昼公演の、皆さんのテンションの上がりっぷりは素晴らしくて。
まあ、舞台が熱い、あつい、アツイ!
ドラマシティの閉鎖された地下空間、近い舞台での皆さんの熱い舞台に、見ているほうのテンションも上がり、終演後の大休憩は日常生活に支障をきたす程^^;
私はこのドラマシティ公演、通路より前で見たのは一度だけで、あとは全て24列か25列、つまり最後列とそのいっこ前の列でした。それでも、大劇場とは違う、凝縮された舞台に興奮しましたね。なんといっても、豪華すぎるこのメンバーが、この狭い空間でぶつかり合って芝居をしているのは、本当に贅沢な時間だと思いました。
青年館は二階席もあり空間が大きくなりますから、やはり見え方が違ってくるでしょうね。どうなるか、楽しみです。

この昼公演、本当にソラと嵐のお二人のテンションが凄かったのですよ。
ソラの私的見所は、一幕最後の幕が降りる瞬間のお顔。記憶を取り戻し、自分のした事に気付いたソラ。そのに瞬間の表情に、"空”という人間の心の全てが見えるような気もします。ここは、本当に毎回違う芝居で、衝撃にただ呆然としているようだったり、深い絶望に打ちひしがれるようだったり、激しく自分を責めるようだったり、静かな虚無的なものを感じたり…。色々な日替わりソラを見ました。ここでのソラから二幕へ繋がっていくので、私の一番のポイントなのです。
この楽の日の昼公演は、なんと形容したらいいのか…ともかく、グッと心を持っていかれました。
そして二幕の慟哭の激しいこと。
「心に傷を受けた」人物を演じさせたら、もはや今の宝塚ではオオゾラさんに並ぶ者はそうそうないのでは、と思いますね。その傷を受け止め、心癒すカタルシスまで含めて。何しろ、そういう役をこなした数が違います^^;本当に、色々なパターンの「心の傷」を演じてこられましたからね。あの微妙な立場のせいもあるでしょうが、かっこ良いヒーロー役ではなく、傷付き、傷付け、その事にまた傷付く…そんな役がとても多かったのですから。
でも、実はその傷が癒える役は少なかったので、ラストに美雨に見せる穏かな笑顔は印象的。楽の日は、あまりにも透き通った存在感に心奪われて「まるで仏様のようだ…」とさえ、思いました。ソラが、悟りをひらいた人であるかのように見えたらしいです^^;
まあ、とにかく美しかったのですよ。
空っぽの記憶喪失から始まり、過去を思い出す事への恐れ、記憶が戻ってからの葛藤、戦いと自己否定。それからの再生の場面まで、本当に色々な表情の”ソラ”を見る事ができる作品でした。最初の宣言どおり、確かに「今までに見た事の無い大空祐飛」を見せてもらったかな。…それについては、いずれまた。


そして、蘭寿さんの”嵐”もまた、熱かった。
レジスタンス役で「どんな拷問にも口を割らなかった」という、ちょっとヴィクター・ラズロとかぶる感じかと思いきや、全然違う今回の嵐。
自分のした事で、多くの仲間を死に追いやった自責の念に囚われる嵐は、状況的にはむしろリックに近いキャラクターなんですよね。しかし、同じような状況でも、出てくる芝居はまるで違うのが、オオゾラさんと蘭寿さん。
自分を責めるのも、熱く激しい蘭寿さん。でも、その打ちひしがれた姿に色気を醸し出す所は、やはり魅力的です。
私は今回の、この打ちひしがれた嵐の姿が、非常に大好きなんですよ。「全て無駄だった!」と、熱く叫んだ後、フォグに慰められてひっそりと眠りにつく姿が、本当に好き。この”嵐”も、私にとっては「今までに見た事の無い蘭寿とむ」さんで、とっても新鮮な魅力を感じました。らんとむさんに限らず、今回、皆さんが今までにあまり無かったキャラを演じて、新鮮な魅力が見えたような気がします。少なくとも、新前”宙組みファン”の私にとっては、出演者の皆さん、それぞれの新しい魅力を発見した公演でした。


ところが、この千秋楽の日の昼公演、らんとむさんの中で何かリミッターが外れたのか?
もの凄く熱い嵐は、「これでこそ、蘭寿とむ!」というような、今までのらんとむさんのイメージそのままの嵐、でした。いやー、びっくりしましたね。
昨日までの嵐とは、別人です(*_*)熱くて激しくて、らんとむさん、そのものでした。あ、勿論その新しい”嵐”も、また違った魅力がありました。
他の皆さんも、このお二人の熱さに負けないくらい、熱いようで。美雨、カイ、アイス、雹…皆が熱くて、ぶつかり合うような芝居でした。
これだから、ナマの舞台観劇はやめられない…と、思うような公演でしたね。

そしてドラマシティの楽は、お二人共、その熱さを持ったまま、グッと抑えていたような舞台だった…と、思います。
抑えてはいるけれど、静かな熱演。やっぱり皆さんのテンションは非常に高くて、舞台全体のテンションの高さを肌で感じました。
ジープに置いて行かれそうになって必死で走る、ソラさんも見れて楽しかった♪

最初に見た時には、結構「ええ???」と思う事の多い公演でしたが。最終的には設定部分を除き、キャラクターの心の動きについては、皆さん夫々の力技で、
一本新芯の通った造形となっていたと思います。
ま、宝塚の娯楽作品ですから。近未来設定に無理がある事だけなら、スルーできます。SF的価値を求めている訳ではないので。ぶっちゃけ、現実の歴史モノだって、無理がある事なんてフツーの宝塚ですからね(^^)
一本の芝居として、人物の心の動きに共感する事ができるなら、それで良し。
初期には手探り状態だったキャラクター達も、舞台で生きていくうちに、血の通った人間として、その心に共感できるようになっていました。
公演って、こうやって出来上がっていくんだなーと、感心しましたね。
これから東京公演では、この完成形を元に、またどれだけ変わっていくのか、楽しみです♪

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