カサブランカ 感想その2
2010年1月8日 宙組東京公演が始まり、三回観劇しました。
自分で見られない時でも、東宝劇場には、カサブランカの街があり、そこにあの人達が生きている…と思うだけで、幸せな毎日を過ごしています。
今更ですが、ネタばれの感想を。
初日の興奮から、少し落ち着いてみると、皆さんの演技がすこーーーし変わった気がします。
具体的にどこ、とはわからないのですが、大劇場観劇時に比べて全体的に皆さんの精神年齢が高めになられたような。
やはり東宝へのお稽古の数日でも変化があるのでしょうね。それでいて、大劇場の前半の時に感じていた「映画のように役を作り込んでいる」感は無く、とても自然にその人物として生きているような気がします。
特に変わったと思ったのが、ラズロとイルザのお二人。
ラズロはより大きく、落ち着きのある大人の男に、イルザはだいぶ強い女性になった気がします。
先日も書きましたが、リックとイルザの二人の場面の会話はとても緊迫して、対等に言い争う雰囲気がでました。
すみ花ちゃんは、控えめで、たおやかな女性なので、実は意外に「気の強い女性」は苦手だったんですよね。「大江山花伝」の藤子も、「オグリ!」の照手姫も、原作の漫画はもう少し気の強い雰囲気だったので「天才・野々 すみ花にも、出来ない事ってあるんだなー」と思っていたのでした。
もちろん、それがすみ花ちゃんの個性ですから、不満があったわけでは無いのです。すみ花ちゃんも芯は強いですし、感情の流れはきっちりできていたので、むしろ宝塚の娘役として、あるべき姿に見えました。
でもイルザは、原作映画のバーグマンが西洋の女性らしく自分の意見をはっきりと言う強さがあり、ちょっと苦しいかな~と思うところもありました。すみ花ちゃんのイルザに対して「ちょっと違う」という意見があるのは、実はヴィジュアルそのものというよりは、そこの所のほうが大きいんじゃないかと思うんです。
それは宝塚の娘役としてのキャラクターを作る際に、ヴィジュアルの元になる部分というか。性格が顔に出ちゃう部分。
すみ花ちゃんは、たおやかで控えめで優しい雰囲気が、前にでていますから。
イルザは、やっぱりウメちゃんあたりが似合う役だろうなーと思うのは、ウメちゃんのあの美貌とスタイルだけでなく、強い意志を持って、大切なものを守る為に戦う女性でもあったからなのです。その戦う強さが、ゴージャスな存在感を作っていたのではないかな。たおやかで控えめで優しい女性でもあるのですが、ね(^^)
で、すみ花ちゃんのイルザに強さが出てきたのは、大変喜ばしいところ。
イルザは、ラズロと共にナチスと戦う女性ですから。芯が強いだけでなく、表立って戦う勇気と逞しさも必要です。
だからこそ、あの二人のイイ男に愛されるのですものね。
リックに対しても、負けずに言い争うほうが説得力があります。「リックを傷つけた事は心苦しいけれど、あの時は仕方がなかったの!」と、強く主張するほうがイルザらしい。それに対して、リックも遠慮せずに自分の哀れさを主張できるようになり、あの緊迫感に繋がるのかな、と。
そしてまた、パリの場面の甘さも引き立てられますしね。
で、あんなに年下の娘を相手に、なりふり構わずに過去を責めるリックさんのほうは、ちょっと若い作りになったような気がします。
まあ、あの映画の時代の37歳と、イマドキの37歳はちょっと違いますからね。このくらいのほうがいいかなーと思いますが。
けれども、ラストの飛行場でのイルザに対する包容力は、大劇場よりぐーーーっと増しています。
ここは以前よりずっと強くなって、揺ぎ無い存在になっている気がしますね。
「世界の果てまでも」のデュエットで、硬く凍り付いていたリックの心がふわっと開いてから、イルザとそしてラズロとの会話が有り。
「本当の俺」を歌い終わるまでに、彼は何もかもを受け止め、急激に精神的成長を遂げる…という作りになったのかなーと感じました。
この、リックの心が再生していく流れで、心地よい涙を流す自分に気付きました。あんまり舞台を見て泣かない人間なのに。
多くの劇評にも書かれていますが、この役を演じる為に、大空祐飛の今までの長い道のりがあったんだな、と素直に思います。
遠い昔「黒い瞳」で、プガチョフの代役を終えた1月7日。
あれから12年たったのかな?昨日、その同じ日に観劇して、そんな遠い道のりを思い起こしたりしたのでした。
自分で見られない時でも、東宝劇場には、カサブランカの街があり、そこにあの人達が生きている…と思うだけで、幸せな毎日を過ごしています。
今更ですが、ネタばれの感想を。
初日の興奮から、少し落ち着いてみると、皆さんの演技がすこーーーし変わった気がします。
具体的にどこ、とはわからないのですが、大劇場観劇時に比べて全体的に皆さんの精神年齢が高めになられたような。
やはり東宝へのお稽古の数日でも変化があるのでしょうね。それでいて、大劇場の前半の時に感じていた「映画のように役を作り込んでいる」感は無く、とても自然にその人物として生きているような気がします。
特に変わったと思ったのが、ラズロとイルザのお二人。
ラズロはより大きく、落ち着きのある大人の男に、イルザはだいぶ強い女性になった気がします。
先日も書きましたが、リックとイルザの二人の場面の会話はとても緊迫して、対等に言い争う雰囲気がでました。
すみ花ちゃんは、控えめで、たおやかな女性なので、実は意外に「気の強い女性」は苦手だったんですよね。「大江山花伝」の藤子も、「オグリ!」の照手姫も、原作の漫画はもう少し気の強い雰囲気だったので「天才・野々 すみ花にも、出来ない事ってあるんだなー」と思っていたのでした。
もちろん、それがすみ花ちゃんの個性ですから、不満があったわけでは無いのです。すみ花ちゃんも芯は強いですし、感情の流れはきっちりできていたので、むしろ宝塚の娘役として、あるべき姿に見えました。
でもイルザは、原作映画のバーグマンが西洋の女性らしく自分の意見をはっきりと言う強さがあり、ちょっと苦しいかな~と思うところもありました。すみ花ちゃんのイルザに対して「ちょっと違う」という意見があるのは、実はヴィジュアルそのものというよりは、そこの所のほうが大きいんじゃないかと思うんです。
それは宝塚の娘役としてのキャラクターを作る際に、ヴィジュアルの元になる部分というか。性格が顔に出ちゃう部分。
すみ花ちゃんは、たおやかで控えめで優しい雰囲気が、前にでていますから。
イルザは、やっぱりウメちゃんあたりが似合う役だろうなーと思うのは、ウメちゃんのあの美貌とスタイルだけでなく、強い意志を持って、大切なものを守る為に戦う女性でもあったからなのです。その戦う強さが、ゴージャスな存在感を作っていたのではないかな。たおやかで控えめで優しい女性でもあるのですが、ね(^^)
で、すみ花ちゃんのイルザに強さが出てきたのは、大変喜ばしいところ。
イルザは、ラズロと共にナチスと戦う女性ですから。芯が強いだけでなく、表立って戦う勇気と逞しさも必要です。
だからこそ、あの二人のイイ男に愛されるのですものね。
リックに対しても、負けずに言い争うほうが説得力があります。「リックを傷つけた事は心苦しいけれど、あの時は仕方がなかったの!」と、強く主張するほうがイルザらしい。それに対して、リックも遠慮せずに自分の哀れさを主張できるようになり、あの緊迫感に繋がるのかな、と。
そしてまた、パリの場面の甘さも引き立てられますしね。
で、あんなに年下の娘を相手に、なりふり構わずに過去を責めるリックさんのほうは、ちょっと若い作りになったような気がします。
まあ、あの映画の時代の37歳と、イマドキの37歳はちょっと違いますからね。このくらいのほうがいいかなーと思いますが。
けれども、ラストの飛行場でのイルザに対する包容力は、大劇場よりぐーーーっと増しています。
ここは以前よりずっと強くなって、揺ぎ無い存在になっている気がしますね。
「世界の果てまでも」のデュエットで、硬く凍り付いていたリックの心がふわっと開いてから、イルザとそしてラズロとの会話が有り。
「本当の俺」を歌い終わるまでに、彼は何もかもを受け止め、急激に精神的成長を遂げる…という作りになったのかなーと感じました。
この、リックの心が再生していく流れで、心地よい涙を流す自分に気付きました。あんまり舞台を見て泣かない人間なのに。
多くの劇評にも書かれていますが、この役を演じる為に、大空祐飛の今までの長い道のりがあったんだな、と素直に思います。
遠い昔「黒い瞳」で、プガチョフの代役を終えた1月7日。
あれから12年たったのかな?昨日、その同じ日に観劇して、そんな遠い道のりを思い起こしたりしたのでした。
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