「花組版・銀ちゃんの恋」
2008年11月19日 花組月組版の「銀ちゃんの恋」を何度か見ています。
以前は、辛くて痛くて、見る事ができなかった作品なのに。
花組版の舞台を、何度も見てしまったせいでしょうか。
それぞれの場面や台詞が体に染みついてしまっていますから、平気になったのでしょうね。
しかし、花組版の舞台で、ドラマシティから青年館の楽までの、大きな変化を体感した者としましては。
この月組版のビデオも、この後に大きく芝居が変わっていった事だろうなーと。
初演の青年館公演の、千秋楽の舞台が見たかったなーなんて、今更ながら悔しく思います(^^ゞ
初演当時も、青年館では芝居が更に深くなって、発売されたバウのビデオは物足りないと聞きましたし。当時は勿論CSなど無かったので、販売ビデオの映像しか残っていないのが残念ですよね。青年館楽の映像が残る今は、本当に有難いです。
それでも。
私にとっては、このビデオに残された映像が月組版「銀ちゃんの恋」です。
この映像で、がーーがーー泣いて、忘れられない程に心に残っているものです。
痛くて辛くて…怖くて。10年間、見なおす事もできなかったのに、自分でも驚く程に鮮明に覚えていました。
完成されたものではないとはいえ、十分すぎる程に力のある舞台映像です。
ですからやはり、このビデオを参考にして、花組版を考えてみたいと思います。
月組版を見て改めて思うのは、今回の花組メンバーは本当によく頑張ってこの舞台を作り上げたんだな、という事です。
初演は、やはり「芝居の月組」の作品です。
主演の久世さんは、今でもこの二十年くらいのなかでは”芝居巧者”として、まず名前をあげられる中のお一人です。
改めて見て、やはりこの方の芝居は良いなーと思います。芝居って、こういうものだよな…という爽快感があるんですよね。
そして、他のメンバーも豪華です。
監督の真山葉留さんに、トメさんの美郷さんは、私にとって月組の二大スーパースターです。このお二人の芝居こそ、月組の芝居というイメージなんです。
この時代の月組特有の、リアルな、動きを極端に抑えた芝居。もはや、今の月組には残っていないものなので、本当に懐かしいですね。
久しぶりに見ると、自然に体に馴染みます。
月組らしい、心情の動きを基本とした芝居。作って見せるのではなく、その人物として、舞台の上でその瞬間を実際に生きる事を理想とした、芝居。
表情は、思った事が自然と顔に出てしまったもの。日常で普通の人間が会話しているような、台詞と仕草等。
勿論、舞台で観客に見せるものですから、細かくしっかりと計算されたものです。
自然に見せる為に、舞台でできるギリギリの処まで、抑えた芝居。
るんぱさんの”監督”は、激昂している場面でも、特にオーバーアクションな芝居はしませんが、すごーく印象的です。
それは他の出演者の皆さんも同じですね。皆さん、そのへんにいるような、リアリティのある人物達です。
そして、今回の花組版。
出演者が発表された時に、今の花組の芝居のできるメンバーが集められたようだ…と、花組ファンの皆さんには語られていました。
確かに、悠真 倫さん、日向 燦さんのお二人共に出ていただけるというのに、ビックリしました。でも、監督とトメさんは要の役ですからね。初演で真山さんと美郷さんの演じた役ですから、やはりこのお二人でなければ。
上級生から下級生まで、これだけの「役者」が揃うのは、今の宝塚では貴重な事なのかもしれません。
「花組版」と「月組版」、芝居の方向性はまるで違いますが、やはりとても良い芝居だったと思います。
改めて見て、この作品を語る時「久世版」と「大空版」ではなく、「月組版」と「花組版」と呼ぶのが相応しいなーと思うんです。
それが月組ファンとして、大空ファンとして、すごく嬉しい事でした。
主演者だけでなく、出演者皆さんの色で織りなれた、芝居である事が。
花組の大空祐飛さんが、花組の皆さんの色を活かした芝居を、皆さんと共に作り上げた事。
おそらく、組替前に「月組の大空さん」が演じたとしたら、「銀ちゃん」のキャラクターは全然違うものになっていたのではないか…と、思うのです。
この座組みだからこそ、あの表情豊かな「銀ちゃん」のキャラクターができたのだと思います。
特にそう感じるのが、子分達との場面です。
焼き肉屋で、俯いて豆もやしを食べるトメさんとマコトや、しくしくと泣き声をもらすジミーを横目で見て、次第に形相を変えていく銀ちゃん。
初めてこの場面を見た時、私は本当にビックリしました。
あのオオゾラさんが、こんなオーバーアクションに、派手な表情を作って見せるなんて。
でもトメさんとマコトとジミーの三人との掛け合いの芝居を上手く作って、すごく楽しい場面に仕上げられていました。
オープニングの殺陣の橘を抑え付ける場面や、任侠の場面のトメさんを追い払う仕草など。花組の皆さんと掛け合いの芝居を作る場面では、新しい「花組の大空祐飛」を感じました。勿論、今まで長く月組で培ってきた「大空祐飛」はそのままで、また新しい事を学んで。
オオゾラさんって、こんなにも柔軟性のある役者さんだったんだなーと、今更ながら感心しましたね。
ナウオン・ステージの座談会では「今の私はコラボレーションみたいなものかな」と、仰られていまいたが。花組の皆さんも、月組から来た大空さんの芝居を柔軟に受け入れて、皆さんで新しい芝居世界を作って下さって嬉しかったです。
今回の「花組版・銀ちゃんの恋」は、石田先生によって「依存と束縛」というテーマが掲げられています。
花組さんの、アクションを作って見せていく芝居は、テーマをくっきりと浮き上がらせる方向に、とても良くあっていると思います。
花組の芝居は大きくアクションを作る事で、必要な部分をはっきりと見せる芝居ですよね。ちょっとデフォルメされたキャラクター達が、「いかにも」な感じで。
月組の芝居とはまた違ったリアリティで、登場人物のキャラクターを表現されていたと思います。
まりんさんの監督は、るんぱさんの監督はまた違った意味で「あんなおじさん、そのへんにも居そう」と思わせて下さいました。他の皆さんも、見ていてとても身近な人物に感じられるような気がしました。
このメンバーと出会えたからこその、大空「銀ちゃん」。
このメンバーだからこそできた、「花組版・銀ちゃんの恋」。
この素敵な出会いに、感謝しています。
昨年の12月、組替が発表された時のショックは、今では懐かしい思い出となりました。私達ファンは、幸せ者ですね(^^)
以前は、辛くて痛くて、見る事ができなかった作品なのに。
花組版の舞台を、何度も見てしまったせいでしょうか。
それぞれの場面や台詞が体に染みついてしまっていますから、平気になったのでしょうね。
しかし、花組版の舞台で、ドラマシティから青年館の楽までの、大きな変化を体感した者としましては。
この月組版のビデオも、この後に大きく芝居が変わっていった事だろうなーと。
初演の青年館公演の、千秋楽の舞台が見たかったなーなんて、今更ながら悔しく思います(^^ゞ
初演当時も、青年館では芝居が更に深くなって、発売されたバウのビデオは物足りないと聞きましたし。当時は勿論CSなど無かったので、販売ビデオの映像しか残っていないのが残念ですよね。青年館楽の映像が残る今は、本当に有難いです。
それでも。
私にとっては、このビデオに残された映像が月組版「銀ちゃんの恋」です。
この映像で、がーーがーー泣いて、忘れられない程に心に残っているものです。
痛くて辛くて…怖くて。10年間、見なおす事もできなかったのに、自分でも驚く程に鮮明に覚えていました。
完成されたものではないとはいえ、十分すぎる程に力のある舞台映像です。
ですからやはり、このビデオを参考にして、花組版を考えてみたいと思います。
月組版を見て改めて思うのは、今回の花組メンバーは本当によく頑張ってこの舞台を作り上げたんだな、という事です。
初演は、やはり「芝居の月組」の作品です。
主演の久世さんは、今でもこの二十年くらいのなかでは”芝居巧者”として、まず名前をあげられる中のお一人です。
改めて見て、やはりこの方の芝居は良いなーと思います。芝居って、こういうものだよな…という爽快感があるんですよね。
そして、他のメンバーも豪華です。
監督の真山葉留さんに、トメさんの美郷さんは、私にとって月組の二大スーパースターです。このお二人の芝居こそ、月組の芝居というイメージなんです。
この時代の月組特有の、リアルな、動きを極端に抑えた芝居。もはや、今の月組には残っていないものなので、本当に懐かしいですね。
久しぶりに見ると、自然に体に馴染みます。
月組らしい、心情の動きを基本とした芝居。作って見せるのではなく、その人物として、舞台の上でその瞬間を実際に生きる事を理想とした、芝居。
表情は、思った事が自然と顔に出てしまったもの。日常で普通の人間が会話しているような、台詞と仕草等。
勿論、舞台で観客に見せるものですから、細かくしっかりと計算されたものです。
自然に見せる為に、舞台でできるギリギリの処まで、抑えた芝居。
るんぱさんの”監督”は、激昂している場面でも、特にオーバーアクションな芝居はしませんが、すごーく印象的です。
それは他の出演者の皆さんも同じですね。皆さん、そのへんにいるような、リアリティのある人物達です。
そして、今回の花組版。
出演者が発表された時に、今の花組の芝居のできるメンバーが集められたようだ…と、花組ファンの皆さんには語られていました。
確かに、悠真 倫さん、日向 燦さんのお二人共に出ていただけるというのに、ビックリしました。でも、監督とトメさんは要の役ですからね。初演で真山さんと美郷さんの演じた役ですから、やはりこのお二人でなければ。
上級生から下級生まで、これだけの「役者」が揃うのは、今の宝塚では貴重な事なのかもしれません。
「花組版」と「月組版」、芝居の方向性はまるで違いますが、やはりとても良い芝居だったと思います。
改めて見て、この作品を語る時「久世版」と「大空版」ではなく、「月組版」と「花組版」と呼ぶのが相応しいなーと思うんです。
それが月組ファンとして、大空ファンとして、すごく嬉しい事でした。
主演者だけでなく、出演者皆さんの色で織りなれた、芝居である事が。
花組の大空祐飛さんが、花組の皆さんの色を活かした芝居を、皆さんと共に作り上げた事。
おそらく、組替前に「月組の大空さん」が演じたとしたら、「銀ちゃん」のキャラクターは全然違うものになっていたのではないか…と、思うのです。
この座組みだからこそ、あの表情豊かな「銀ちゃん」のキャラクターができたのだと思います。
特にそう感じるのが、子分達との場面です。
焼き肉屋で、俯いて豆もやしを食べるトメさんとマコトや、しくしくと泣き声をもらすジミーを横目で見て、次第に形相を変えていく銀ちゃん。
初めてこの場面を見た時、私は本当にビックリしました。
あのオオゾラさんが、こんなオーバーアクションに、派手な表情を作って見せるなんて。
でもトメさんとマコトとジミーの三人との掛け合いの芝居を上手く作って、すごく楽しい場面に仕上げられていました。
オープニングの殺陣の橘を抑え付ける場面や、任侠の場面のトメさんを追い払う仕草など。花組の皆さんと掛け合いの芝居を作る場面では、新しい「花組の大空祐飛」を感じました。勿論、今まで長く月組で培ってきた「大空祐飛」はそのままで、また新しい事を学んで。
オオゾラさんって、こんなにも柔軟性のある役者さんだったんだなーと、今更ながら感心しましたね。
ナウオン・ステージの座談会では「今の私はコラボレーションみたいなものかな」と、仰られていまいたが。花組の皆さんも、月組から来た大空さんの芝居を柔軟に受け入れて、皆さんで新しい芝居世界を作って下さって嬉しかったです。
今回の「花組版・銀ちゃんの恋」は、石田先生によって「依存と束縛」というテーマが掲げられています。
花組さんの、アクションを作って見せていく芝居は、テーマをくっきりと浮き上がらせる方向に、とても良くあっていると思います。
花組の芝居は大きくアクションを作る事で、必要な部分をはっきりと見せる芝居ですよね。ちょっとデフォルメされたキャラクター達が、「いかにも」な感じで。
月組の芝居とはまた違ったリアリティで、登場人物のキャラクターを表現されていたと思います。
まりんさんの監督は、るんぱさんの監督はまた違った意味で「あんなおじさん、そのへんにも居そう」と思わせて下さいました。他の皆さんも、見ていてとても身近な人物に感じられるような気がしました。
このメンバーと出会えたからこその、大空「銀ちゃん」。
このメンバーだからこそできた、「花組版・銀ちゃんの恋」。
この素敵な出会いに、感謝しています。
昨年の12月、組替が発表された時のショックは、今では懐かしい思い出となりました。私達ファンは、幸せ者ですね(^^)
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