月組「ME AND MY GIRL」新人公演。
だいぶ時間がたってしまいましたが、感想を少しずつ。

本当に素敵な新人公演でした。
新公メンバーの皆さんが見せて下さった、私の大好きな「ME AND MY GIRL」の世界。
若い溌剌とした勢いと、素直で暖かい心で、この作品の新たな魅力を見せられた気がしました。

私はビルとサリーのカップルは、若者ではなく大人の役だと思っています。
階級の違いを大きなテーマとして扱った作品だから、二人は世の中というものをちゃんと分かった大人でなければいけないと思うんです。
下町の暮らしが体に染み付いて一人前の大人になったビルだからこそ、「貴族の血」と言われても抵抗がある。本人にも、貴族達にも、使用人達にも。
そして、ヘアフォード家の人間達が徐々に彼を受け入れていく事や、サリーやマリア叔母様がビルの為にしてくれる事の重みも、きちんと理解して受け止める事ができる。
そこに大きな意味のある作品だと、思っているのです。
…本当に、ずっと思っていたのですが、しかし。
いや、もう、みりおビルには完全に負けました^^;

若くて未熟な、世の中の汚れを知らない、無垢で清らかなビルとサリー。
…いいじゃん、そんなミーマイも。
ただ真っ直ぐに互いの事を思いあい、その純粋な心が回りの人々を動かしていく。
この美しい二人の為ならどんな事でもしてあげたい…と、自然に思わせる、ビルとサリーに胸を打たれました。
舞台の上の人々も、観客も、二人の為に悲しい思いをして、二人の幸せに涙する…そんな幸せな時間。本当に、見れて良かった。

みりおビルは、舞台の真ん中にいて、この人の為に全てが動いている…という存在で。
ともかく見た目が美しいので、ちょっとガラを悪くしても、あまり胡散臭い”下町の男”にはなれていなかったかな?
でも、軽妙な感じでまくし立てるセリフの調子で、周りの貴族達からは浮き上がって見えたのでOK。
多少セリフに詰まったりしても、そこに居るのは”ビル”なので、何の問題も無しでした。逆にみりおビルが可愛いくて親しみがでて、舞台と客席の一体感となった程。
初主演がこの大役で、かなり一杯一杯な様子でしたが、それも慣れない貴族の屋敷で右往左往しているビル…というようにも見えました。
厨房での場面の使用人達への親しみとそこに馴染めない孤独感とか、ヘザーセットに甘えた感じ等も印象的。
ジャッキーに迫られた時の反応や、ヘアフォード家の歴史の本を投げ捨てる…など、ちょっと引っかかる場面も、まるで嫌味を感じさせません。
叔母様にキスされて、荷造りをしに…と一度引っ込む時に、走りながら拳で涙をぬぐっていたのには、泣かされました。
そして、二人のハッピーエンドにも。

しずくちゃんのサリーは、本当にいじらしくて可愛かった。
なんというか、無垢な無私のサリーという印象。
自分の事よりも、ともかくビルの幸せが大事で。辛さも悲しみも確かに有るんだけど…ビルの為に行動するのは自然な事で、そに悲壮感などは感じられない。
サリー本人は、淡々と自分の事を扱う様子で…そのさっぱりした感じが余計に切なかった。
ラストの変身後は、本当に美しくて、納得の美少女ぶり。
二人とも本当に良い表情で、間もぴったりで、本当に良いハッピーエンドでした。
お歌は声が細くて、頑張れ…という感じでしたが、博多座に期待という事で。
見る前は、彼女はサリーというイメージじゃないかなーと思っていたのですが、きっちりとしずくちゃんなりのサリーを作ってくれて感心しました。
(でも、しずくちゃんだったら同じ英国の恋物語でも、森薫氏の『エマ』(Emma)のほうがイメージに合うと思う^^;…ビルの両親の物語より、ちょっと前の時代かな?)

他のキャストも素晴らしくて、芝居にも挨拶にも泣いて泣いて…。
こんなに泣いてしまって恥ずかしい、と思いながら帰りましたが、客席を立った人々の多くが、同じように泣いた後の清々しい顔をしていたのでひと安心。
やっぱり、あの舞台を見たらみんな泣くよね…と納得し、微笑ましく思いながら帰りました。
きっと、あの泣いていた多くの人が「いつの日か、本役でみりおビルが見たい!」と思った筈…なんて、勝手に思っています。

他のキャストについては、また(^^ゞ

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