雪組公演 エリザベート その3
2007年8月10日 宝塚ちょっと時間がたってしまいましたが、「エリザベート」感想の続きです。
ゆみこちゃんのフランツ、何度見ても、いいですねー。
私はこの「エリザベート」という作品の中で、一番好きな役は多分フランツなんですよ。
どの役も良くできていて、感情移入してしまうので、”多分”がついてしまうのですが^^;
皇帝フランツって、色々な角度で見る事ができる人物だと思います。解釈によって、沢山の演じ方のバリエーションが想像できます。色々な相反する感情の要素を含んでいるので、どの場面、どのセリフもどんなふうにも演じられる面白い役だと思うんですよ。
演じ甲斐もあるだろうし、見ごたえもある。辛抱役で、”スター”のファンの人に好かれる役じゃないかもしれないけど。
そういう「役」としての面白さもありますし、あまりにも真面目な彼の生き方が好きなんだと思います。
ウィーン版のフランツは、気弱なマザコン男で頭も良くなさそうな、全然良い所のない情け無〜い感じでしたが、それでも好きでした。男の愛嬌と哀愁があって…人間のダメな所の可愛さ、みたいな。あれはあれで、魅力的でした。役者さんも良かったですしね。
で、ゆみこフランツ。二回目の観劇で”夜のボート”の、ゆみこちゃんの歌で泣かされました。
私は、かなりドライアイな感じで(笑)、舞台を見て泣くというのはあんまり無いのですが…やられましたね。
もちろん”歌”そのものが良かったのはありますが、ゆみこフランツのひた向きさ、真っ直ぐで揺るぎの無い心の、健やかな強さのようなものに泣かされたのだと思います。
あんなに年を取っても、若い頃と同じ強さと純粋さで愛しているなんて。決して年を取ったように見えないのでは無く、年を重ねた重みは見えるのに愛し方が変わらない気がする。CSの座談会か何かで、「フランツは超ポジティブシンキング」と小池先生がおっしゃっていたというのを聞いて、笑ってしまったのですが、ゆみこちゃんのフランツは確かにそんな感じがしますね。
となみちゃんの天然エリザベートに対抗できる、強靭なポジティブさ(^^)
あと、三度目の観劇では一幕ラストの「鏡の間」がすごく印象的でした。
「でも私の人生は私のもの」と歌うエリザベートの隣に立ったフランツに、妙な迫力があって…。
たとえ彼女の心を得る事はなくても、それでも、この女はオレのモノだ!みたいな。自分の人生と引き換えに彼女を手に入れた、高揚感と孤独感。この感じ、何かどっかで見たような?と思って…思い出したぞ!
「心中・恋の大和路」の、小判の封印を切る場面です。あの、人生を賭けてしまった一瞬のような迫力で、ゆみこさんから目が離せなかったんです。ゆみこフランツは、真面目で良い人過ぎるので、余計に印象的なんでしょうね。
この雪組バージョンを見て、「エリザベート」という作品の色を決めるのに、フランツとゾフィー親子の二人のウェイトはかなり大きいものなんだな、と思いました。
私にとって、宝塚の「エリザベート」の印象は、花組版まではずっと”華やかなホームドラマ”だったんです。月組版は”歴史上の人物、エリザベート皇后をめぐる人間ドラマ”、今回の雪組版は”トートとエリザベートのファンタジックな恋物語”という感じかな。
そして、以前の、ホームドラマの印象を決定付けていたのは、ゾフィーだったんだと、今回改めて思いました。
花組版までの、ゾフィーの物語上の位置づけは”エリザベートに敵対する姑”だったと思うのですが。月組の美々さん以降は”国の将来的な危機を見通した皇太后”という存在に変貌しました。ウィーン版でゾフィーのソロが追加され、位置づけが明確になったのに呼応したようですね。
美々さんのゾフィーは、理知的で聡明でした。ただ一人だけ、エリザベートがもたらすものに気づいている皇太后。
以前からあった歌詞ですが、美々さんが歌った事で「君主制の危機」という言葉の重要さに初めて気づいたんですよ。
教会に行かないのも、教育に批判的なのも「君主制」の立脚点を揺るがすもの。エリザベートは、単に”皇后の義務”を果たさないだけではなく、「君主制」の世の中を拒否しているという事。彼女の求める”自由”は、「死刑囚の母」の息子が叫んだ”自由”と同質なものなんですね。
女性であるエリザベートの”革命”は小さなものでしたが、麻子エリザベートは一人で孤独に戦う革命家なんだ…と、美々さんのゾフィー、ガイチさんのフランツ、祐飛ルドルフというハプスブルクの行く末を案じる人々との対比で、くっきりと見えた気がしました。
はまこさんのゾフィー様も、もはや「ホームドラマ」の世界には戻れない。この世でただ一人、ハプスブルクの危機を見通している皇太后。
男役さんの迫力で、強さが際立つゾフィー様ですが、情の深さと温かみを強く感じますね。この愛情深さが、ゆみこフランツをあんなに優しい人に育てたんですね(^^)
雪組再演版「エリザベート」が、優しく暖かい雰囲気で包まれているのは、やはりこのゾフィー・フランツ親子が色を決めているのだな、と思いました。
書きたい事が多すぎて、全然追いつけませんが…。今日はこれまでで。
ゆみこちゃんのフランツ、何度見ても、いいですねー。
私はこの「エリザベート」という作品の中で、一番好きな役は多分フランツなんですよ。
どの役も良くできていて、感情移入してしまうので、”多分”がついてしまうのですが^^;
皇帝フランツって、色々な角度で見る事ができる人物だと思います。解釈によって、沢山の演じ方のバリエーションが想像できます。色々な相反する感情の要素を含んでいるので、どの場面、どのセリフもどんなふうにも演じられる面白い役だと思うんですよ。
演じ甲斐もあるだろうし、見ごたえもある。辛抱役で、”スター”のファンの人に好かれる役じゃないかもしれないけど。
そういう「役」としての面白さもありますし、あまりにも真面目な彼の生き方が好きなんだと思います。
ウィーン版のフランツは、気弱なマザコン男で頭も良くなさそうな、全然良い所のない情け無〜い感じでしたが、それでも好きでした。男の愛嬌と哀愁があって…人間のダメな所の可愛さ、みたいな。あれはあれで、魅力的でした。役者さんも良かったですしね。
で、ゆみこフランツ。二回目の観劇で”夜のボート”の、ゆみこちゃんの歌で泣かされました。
私は、かなりドライアイな感じで(笑)、舞台を見て泣くというのはあんまり無いのですが…やられましたね。
もちろん”歌”そのものが良かったのはありますが、ゆみこフランツのひた向きさ、真っ直ぐで揺るぎの無い心の、健やかな強さのようなものに泣かされたのだと思います。
あんなに年を取っても、若い頃と同じ強さと純粋さで愛しているなんて。決して年を取ったように見えないのでは無く、年を重ねた重みは見えるのに愛し方が変わらない気がする。CSの座談会か何かで、「フランツは超ポジティブシンキング」と小池先生がおっしゃっていたというのを聞いて、笑ってしまったのですが、ゆみこちゃんのフランツは確かにそんな感じがしますね。
となみちゃんの天然エリザベートに対抗できる、強靭なポジティブさ(^^)
あと、三度目の観劇では一幕ラストの「鏡の間」がすごく印象的でした。
「でも私の人生は私のもの」と歌うエリザベートの隣に立ったフランツに、妙な迫力があって…。
たとえ彼女の心を得る事はなくても、それでも、この女はオレのモノだ!みたいな。自分の人生と引き換えに彼女を手に入れた、高揚感と孤独感。この感じ、何かどっかで見たような?と思って…思い出したぞ!
「心中・恋の大和路」の、小判の封印を切る場面です。あの、人生を賭けてしまった一瞬のような迫力で、ゆみこさんから目が離せなかったんです。ゆみこフランツは、真面目で良い人過ぎるので、余計に印象的なんでしょうね。
この雪組バージョンを見て、「エリザベート」という作品の色を決めるのに、フランツとゾフィー親子の二人のウェイトはかなり大きいものなんだな、と思いました。
私にとって、宝塚の「エリザベート」の印象は、花組版まではずっと”華やかなホームドラマ”だったんです。月組版は”歴史上の人物、エリザベート皇后をめぐる人間ドラマ”、今回の雪組版は”トートとエリザベートのファンタジックな恋物語”という感じかな。
そして、以前の、ホームドラマの印象を決定付けていたのは、ゾフィーだったんだと、今回改めて思いました。
花組版までの、ゾフィーの物語上の位置づけは”エリザベートに敵対する姑”だったと思うのですが。月組の美々さん以降は”国の将来的な危機を見通した皇太后”という存在に変貌しました。ウィーン版でゾフィーのソロが追加され、位置づけが明確になったのに呼応したようですね。
美々さんのゾフィーは、理知的で聡明でした。ただ一人だけ、エリザベートがもたらすものに気づいている皇太后。
以前からあった歌詞ですが、美々さんが歌った事で「君主制の危機」という言葉の重要さに初めて気づいたんですよ。
教会に行かないのも、教育に批判的なのも「君主制」の立脚点を揺るがすもの。エリザベートは、単に”皇后の義務”を果たさないだけではなく、「君主制」の世の中を拒否しているという事。彼女の求める”自由”は、「死刑囚の母」の息子が叫んだ”自由”と同質なものなんですね。
女性であるエリザベートの”革命”は小さなものでしたが、麻子エリザベートは一人で孤独に戦う革命家なんだ…と、美々さんのゾフィー、ガイチさんのフランツ、祐飛ルドルフというハプスブルクの行く末を案じる人々との対比で、くっきりと見えた気がしました。
はまこさんのゾフィー様も、もはや「ホームドラマ」の世界には戻れない。この世でただ一人、ハプスブルクの危機を見通している皇太后。
男役さんの迫力で、強さが際立つゾフィー様ですが、情の深さと温かみを強く感じますね。この愛情深さが、ゆみこフランツをあんなに優しい人に育てたんですね(^^)
雪組再演版「エリザベート」が、優しく暖かい雰囲気で包まれているのは、やはりこのゾフィー・フランツ親子が色を決めているのだな、と思いました。
書きたい事が多すぎて、全然追いつけませんが…。今日はこれまでで。
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